ホンダは2月末、オフロード車を思わせるデザインの革新的なクロスオーバーSUVを発表した。
もちろんホンダにははすでにCR-VというSUVがあり、クロスロードがはじめてのSUVというわけではない。だが、CR-Vはちょっとしたオフロード感の味わえるコンパクトワゴンで、日本車というよりアメリカの4WDセダンに近かった。たしかによく見ると新型クロスロードと初代CR-Vには少し似たところもあるかもしれないが、やはり違う。だからホンダにとってクロスロードはCR-Vへの単なる回帰ではなく、新しい経験だといえる。
Honda Crossroad Test Drive, HDTV
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クロスロードの話に入るまえに、最近日本の自動車メーカーにみられる新しい現象について少し説明しておきたい。
SUVはいろいろな意味で今流行の車だ。わがままなクライアントのニーズにこたえるため、メーカーは世代ごとにかなりのモデルチェンジを行う。もちろんエクステリアの変更もあるが、各メーカーが特に力を入れているのは居住空間の拡大と高級感の演出といった点だろう(こうして当初のコンセプトから離れていくのだが…)。まず思い浮かぶのは徐々に贅沢になっていった初代トヨタRAV4の例だ。RAV4をモデルチェンジしていくことでトヨタはかなりのクライアントの期待にこたえたが、それとともに最初期のオーナーたちは以前のかわいかった4x4をなつかしむようになった。そしてこのことに気付いたトヨタとダイハツは2006年に新型コンパクトSUVビーゴとラッシュを発売している。
トヨタにとって正しいことはホンダにとってもそうだ。4x4ワゴンのようなデザインが人気だったCR-Vは時とともに変わり、3世代後には安全で快適な街乗りの「モンスター」に豹変していた。だが、ホンダもトヨタ同様、初代CR-Vの成功を支えた大切な買い手を少し放っておきすぎたことに気付いた。だから今回は新しいことは少し休んで、初代の姿に近いSUVを提案することにしたのだ。
(ここでわれわれが紹介した分析は日本のSUV市場の現状「分析」であって、上で言及したメーカーのマーケティング戦略についての「突っ込んだ」研究成果などではまったくない。)トヨタ・RAV4
デザイン的にクロスロードがターゲットとしているのは、デザインがよくて使いやすいクルマを探しているアクティブなカップルや家族だ。このためホンダはボディに幾何学的フォルムを多用し、タイヤとバンパーの間についているプラスチックのアンダーカバーにも貫禄を出すようにしている。クロスロードはハマーと90年代のジープ・チェロキーを上手に足して小さくしたクルマといえるだろう。
インテリアは他のホンダ車同様、デザインに少し元気がない。ここ2~3年、日本の車メーカーの一番の欠点がこれだ。だがシンプルなデザインにもかかわらず使われているプラスチックなどの素材は非常に上質であるし、エクステリアと同じくらい耐久性があるように思える。
ワゴンということは居住空間が広いということを意味するが、クロスロードはここでも期待にこたえてくれる。ストリームと同じ哲学に基づくクロスロードは、フラットなフロアで自由にシートアレンジができるため、乗客の膝まわりに最大限のペースを確保できる。また立方体のようなデザインとコンセプトのおかげで、全長4.3m、全幅1.75mと小さめのの室内でも7シーターが可能となった。さらに取り外し可能の2座席をはずせば、荷室の容量もかなりの大きくなる。
エンジンはメーターを「振り切る」ほどのものではないが、1.8リッターSOHC I-VETCエンジン(140ps/174Nm)と2.0リッターSOHC I-VETCエンジン(150ps/190Nm)の二機種を用意した。いずれも2WD、4WDから選択可能。
ホンダが2WDを選ぶよう顧客に提案している(経済的)理由はよくわかるにしても、この装備はクロスオーバーSUVの哲学にまったく合っていないように思える。また、顧客の99%が実際どういうふうにこのクルマを使うかを考えると、ほとんどの顧客にとって4WDモデルを買う利点はないのだろう。
発売時、ホンダはクロスロードを街乗りでもオフロードでも快適な「楽しめる」クルマとして発表した。今読んでいただいたように、この小さな4x4ワゴンには多目的な遊びのクルマに必要なものが実際何でもそろっている。だが本当にオフロードでの走りも可能なのか? それを確かめるため4WD、1.8リッターエンジンの「ベース」モデルのテストをホンダに申し込んだ。
われわれは街乗り・高速・山道・泥道・追い越しなど食欲をそそるメニューを用意し、テスト車両を500kmほど走らせることにした。
たとえアスファルト舗装をしてある道であっても、東京を走るのは楽しいことではない。なぜなら大部分の時間を終わりのない渋滞の中で過ごすことになるからだ。あるいは運良く渋滞を抜けられても、今度はところかまわず車が停めてある狭い道に立ち向かわなくてはならい。だが今回のテストでは、これをうまく切り抜けることができた。渋滞中に何時間も座りっぱなしだったにもかかわらずシートが快適だったため背中も腰も痛くならずに済み、最小回転半径が小さいコンパクトなボディのおかげでどこでも入っていくことができた。
ここからもわかるように、クロスロードは街乗りには問題のないクルマだ。とはいえ高速では少し悩まされた。モーターが小さく、馬力が少し足りないために走りの遅いクルマになってしまうからだ。もちろん、これはわれわれのようなヨーロッパ人の目から見てであって、日本では高速道路の制限速度が80km/hなので、速いクルマに乗っていようがいまいがあまり変わらない。
というわけでここは伊豆のくねくねした山道の出番だが、伊豆ではクロスロードの加速の悪さに苦しみ、トルクも馬力ももう少しある2.0リッターモデルを選ばなかったことをすぐに後悔した。
大都会を出て田舎を走ること数時間、「モビリティ・パーク」に到着した。4WDファンのための日本最大級のオフロードコース付きキャンプ場だ。ここまではホンダの言っていたとおりで、街も舗装道路も快適に走れた。ではオフロードではどうだろう? ビデオ機材を設置し、トラクションコントロールシステムを解除して、ATギヤをD3に合わせてからモビリティ・パークの泥だらけで難しいコースを走ってみた。その結果、意外なことに、クロスロードはオフロードの走りも可能だということがわかった!
標準装備のタイヤでも水路や泥道、轍のついた道でも何の問題もなく、傾斜25度の登り坂や35度の下り坂も安心して走ることができた。ただ4x4にしては低い車高のせいで、思いきり走れないコースや避けなければならないコースはあった。車体下にあるプラスチックのアンダーカバーをいためないためだ。それでは最後にもう一度言おう。クロスロードは街乗りでもオフロードでも安心して使えるアーバンなSUVである。
Plus:
エクステリア
価格
オフロード、オンロード共にすぐれた走り
Minus:
加速がやや弱い
インテリアが少しシンプルすぎる
4x4にしては低い車高
Conclusion:
クロスロードは7人まで収容できる居住空間だけでなく、険しい道にも立ち向かえる走破性の点でもすぐれている。特殊な顧客をターゲットとしたクルマだが、見事にそのニーズにこたえていると言えよう。
馬力は少し弱いものの、日本での価格は非常に手ごろで未来のオーナーをきっと満足させられるだろう。
Posted on 08/04/07 By G-A.G