クルマの世界は高級車や真っ赤なスポーツカーを乗り回す脳みそよりも筋肉が多いサッカー選手だけのものではない。砂地や沼地を好んで走るドライバーたちのものでもあるのだ。もうお気づきかと思うが、今日紹介するのはオフロード用のクルマ・パジェロショートモデルだ。
オフロード車を語るのに、レンジローバーやランドローバーといった名前は無視できない。しかしアメリカのハマー(初代)や日本のトヨタ・ランドクルーザー、パジェロといった高性能なライバル車の出現で、このイギリス車がいまや国際市場での厳しい競争にさらされていることは認めねばならないだろう。
Mitsubishi Pajero 2007 Test Drive, HDTV
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だが、あらゆる種類のクルマが次々発売されているのにもかかわらず、4x4の名にふさわしい4x4が日本にはそれほどないことに気がづく。実際、日本でこの分野に取り組んでいるのはランドクルーザーとパジェロを出しているトヨタと三菱の二社のみだ。だから今日、4代目となるパジェロを取り上げることができるのは本当にうれしい。
1973年の東京モーターショーで発表されたコンセプトカーがベースとなり、われわれの知るパジェロが誕生した。長年にわたるさまざまなテストを経て、三菱が市販用の初代パジェロを発表したのはようやく1982年になってからのことだった。4x4の成功を確信していた三菱は最も長く最も困難とされるオフロードレース、ダカール・ラリーに迷わず出場する。たった3チームでのパリ・ダカ出場でも、三菱が世界にパジェロの実力を見せ付けるには十分だった。今でもパジェロはこの規格外のレース史上、最高性能のクルマのひとつでありつづけている。
このような血統を前にしたら多くの同業者がそうしているように、どのみちこの4x4に敬意を表さずにはいられないだろう。というわけでわれわれはいつものテストドライブ用サーキットを離れ、オフロードでのテストを行うことにした。だがアイディアとしてはよかったのだが、実は日本はこの種のテストに向いた土地ではなく、しかもわれわれはオフロードでの運転にはまったく無知であった。というわけで、われわれは14時間のフライトを経てフランスはピカルディ地方の平原まで行ってきたのである。そこでわれわれは大雨暴風という最悪の(カメラマン的には最高の?)天候にみまわれることとなった。
フランスに着いてすぐ、パリの北西部郊外にある三菱フランス本社まで真新しいパジェロをとりに行くことになっていた。三菱は4代目パジェロでアウトドアとエレガンスを融合させるという困難な仕事をなしとげた。たしかに今日4x4の基準足りえるのはレンジローバーだけかもしれないが、ショートモデルの新しいパジェロも本当にすばらしいクルマだ。3代目にくらべフォルムの丸みも少なくなり、ラジエーターグリルのデザインも刷新された4代目は以前よりいっそうエレガントになったが、それでもデザインがパフォーマンスを犠牲にしてはいけないという信念はつらぬかれている。
わりあいシンプルなインテリアは自分たちの乗っているのが高級セダンではなくて4x4なのだということを思い起こさせる。インテリア素材や快適性能一般についてはあらためて言うまでもないが、テストしたモデルのインテリアは黒を基調とした簡素なものだった。もちろん、それが走るよろこびを台無しにした、などということはまったない。ただ、もっと魅力的な何かがあったらもっとよかっただろう。
三菱は世界各国でパジェロを販売しているが、各国の需要に合わせてさまざまなエンジンを用意している。たとえば日本では3.8リッターV6 MIVECエンジン、最高出力250ps、338Nmトルクであるのに対し、フランスではヨーロッパ製のディーゼルエンジン(最高出力170ps、373Nmトルク)で満足しなければならない。たしかにV6に比べエンジン音があまりよくないディーゼルエンジンもあるが、パジェロのエンジンはわれわれがしたテストの過酷さを考えてもかなりよかったということは強調しなくてはならない。オフロードで実際にテストした際の燃費は35~54ℓ/100kmだった。となると、30~40%も割高のガソリンではなく軽油でパジェロの腹を満たさねばならなかったのはかえって好都合だったわけだ。
フランスの高速道路をパジェロで何時間も走ったあと、われわれはやっとテストドライブの場所ピカルディ地方北西部に位置するブリクールの起伏に富んだ牧草地に到着した(テストドライブで牧草地を「耕す」ことを許可してくださったドフランス家の方々にこの場を借りてお礼を申し上げます)。
上でも述べたようにわれわれがなれているのはオンロードでのテストなので、オフロードにはほとんどなじみがなかった。だがともかく「誰も不可能なことをする義務はない」のだから、合計100ヘクタール以上はあるかという巨大なグラウンドをしゃかりきに攻め込んだ。
すべてのテスト同様、いくつかルールを決める必要があったが、われわれはすぐに以下の困難な問題について同意した。
-人が通れるところはパジェロも通れる。
-テストドライブをしていいのは雨の日「だけ」。
-使っていいのは標準装備のタイヤだけ。
このような、まったくバカバカしい非現実的なルールにのっとりカメラとビデオを持ってテストに出発した。だがその週のピカルディ地方の気象条件は最悪で、プールに浸しきったスポンジのような地面でのテストは容易ではなく思われた。しかしわれわれの勇気というか無謀さもかなりなもので、猛スピードで暴風雨に立ち向かった。
一番驚いたのはスケートリンクのようにすべる路面にもかかわらず、土手だろうと泥道だろうと一番大きな障害さえパジェロが簡単に乗り越えたことだ。新パジェロの信じられないポテンシャルをわれわれは実感した。またオフロードに関しては精神面も非常に重要なファクターでるから、最高出力で大きな障害を越えるときは決してためらってはいけないということもわかった。もちろんどんなクルマであれ、これから立ち向かおうとする土地をよく知らない場合、こんな冒険は絶対におすすめできないのだが、幸運にもこれらの牧場や道々をバイクで走りまわって青春時代をすごしたおかげで、浸水のため急ブレーキがまったく不可能となった農道を70km/h以上で走ることもできた。
ここでパジェロの走破性をもう一度強調したい。このクルマはオンロードもオフロードもやすやす走り抜けてしまうようだ。先代同様2007年版パジェロもすばらしいオフロード車で、知識や経験に関係なくほとんどどこでも走りたいところを走ることができる。
さいごに、今回のテストくらい面白いオフロードを見つける機会がない人がパジェロを走らせるのは、たいていが郊外の幹線道路ということになると思うので、走行性能についても数行ふれておきたい。
パリ郊外の渋滞を抜けるのに数時間運転し、されにショッピングセンターの狭い駐車場と格闘してみたあとでわかったのだが、パジェロは大きな体に似合わず非常に扱いやすいクルマである。たしかにコンパクトカーから乗り換えるとすれば、なれるのに少し時間はかかるかもしれないが、テスト中にこの大きさに悩まされることはなかった。とはいえ、縦列駐車を簡単にしたければオプションでバックカメラを取り付けることをお勧めする。また、高速でも不快感は覚えなかった。強いて言えば追い越し時の加速が少ないのが玉に瑕か。だが、全体としてはイライラするようなところはまったくない。
このテストを終わるにあたって、われわれがオフロードの専門家ではないことをお断りしておきたい。もっとプロフェッショナルな意見が知りたければより専門的なニュースを参照することをお勧めする。だが、この分野に関する知識は限られていても、われわれはパジェロの非常に有望なポテンシャルに気付くことができた。もっとも、専門家の手にかかればその能力も限りなく明らかになるだろうが。街乗りだけのために4x4を買うなんて思いもよらないというのなら、あるいはデザイン面を心配しているのなら、パジェロ2007ショートモデルはぴったりのクルマだ。よりシンプルでエレガントになったデザイン、そしてオフロードでの驚くほどのパフォーマンス。情熱と理性を両方味わいたいドライバーにとって、パジェロ2007は理想的なクルマだろう。
Posted on 10/03/07 By G-A.G