パフォーマンスのみに照準を合わせたクルマは50年以上も前からイギリスやドイツ、イタリアなどのメーカーの専売特許であった(アメリカも遅れて参入したが)。だが、われわれはしばしば日本のメーカーの活躍を忘れていないだろうか? 彼らにはスポーティなパフォーマンスをそなえたユニークなマシンを作る能力があるのに。
たしかにスバルにはアウディやジャガーの「オーラ」はないかもしれないが、コストパフォーマンスと超スポーティな性能に関しては、日本のメーカーももはや恥じるところはない。
Subaru Impreza WRX STI A-Line Test Drive
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「スポーティ」という言葉が自動車についてよく言われるし、そうしたコンセプトは一見シンプルなようにも見えるが、言うのと実際にやるのではぜんぜん違う。その証拠に、「GTI」やら「スポーツ」やら「ターボ」という名前を冠してはいても、本当のクルマ好きをがっかりさせるようなクルマがあまたある。「パフォーマンスの高い」クルマと「スポーティな」クルマは別物なのだ。
その結果、正しい道に進むもっとも効果的な方法はプロのレースに参加することだろう。スバルの場合、インプレッサにWRCの起伏の多い泥道を走らせることで実践を積んできた。
こうしたラリーでの経験を生かし、スバルは以前から一般向けに4WDモデルを販売した。WRXは、世界ラリーで何度も王座に輝いたマシンの走る喜びをすべての人が楽しめるように作られた。
スバルインプレッサWRX についてはあらためて紹介する必要もないかもしれないが、今日はその特別モデルWRX STI A-Lineについて述べたいと思う。
インプレッサには熱烈なファン層があるが、思い切ってメカニックを堪能しようという人はほとんどいない。
もちろん、すばらしいパフォーマンスを秘めたクルマだということをわかってはいるが、週末家族で出かけるときに使うだけで満足だという人もいると思う。だが、みんながそうだというわけではない。正直に言うと、私はこの懐疑的な一派のひとりである。
だが、安心してもらいたい。私はまだハイブリッドカーや軽自動車の魅力に屈してはいない。インプレッサWRXの類を見ないパフォーマンスが問題なのではない。そうではなくて、インプレッサWRXの潜在的顧客をかり立てる一番の動機が、性能や快適性能ではなくてデザインや見た目であることが問題なのだ。事実をまっすぐに見てみよう。革新的な技術を用い、手ごろな値段設定にしているのにもかかわらず、この種のクルマの顧客の大半は30代の定職のあるお父さんたちであって、金欠で、速さと刺激に飢え、しかも女の子にもてるようなクルマを探している若者たちではないのである。
技術的、金銭的な問題は脇におくとして、アウディRS4とインプレッサWRXのデザインを私自身も含む家庭のお父さんたちに選んでもらったら、意外にもRS4のデザインが選ばれるだろう。ターゲットとする顧客の年齢が高ければ高いほど、リアにスポイラーを取り付けてみたりといろいろするものだが、やればやるほどまわりは引いている。運悪くWRXにはリアスポイラーが2つ設定され、とくにひとつはF16に非常によく似てしまっている。
この問題を自覚した上で、さらに多くの潜在的な買い手の興味を引こうとして、スバルはよりレガントでパフォーマンスや空気工学もそれほど悪くないクルマを提供しようとしたようだ。
また2つのリアスポイラーが今回はより控えめになったおかげで、インプレッサがよりエレガントになったと言わねばなるまい。もちろんこの変更点は空気工学に対する影響はほとんどないし、ベテランのドライバーでもなければ違いはわからないほどだろう。
純粋に技術的な観点から言うと、どちらかというと「ハードコア」だったベース車とインプレッサWRX STI A-Lineではいくつか小さな違いもある。エンジンはWRXと同じ6速マニュアル2L DOHCエンジン(280ps、422Nm )だが、A-Lineはより多くの人々に受け入れやすくするための変更が施されている。たとえば、ハンドルがより軽くなり、ギアボックスがよりスムーズになった。このためブレーキはほかのモデルにくらべ「ソフト」になり、ブレーキやダンパーにも影響が出ている。
こうした変更点は街乗りやちょっとしたドライブで走る喜びを感じるのに効果的だろう。
だが、上記の変更点はターゲットとした顧客にはよいかもしれないが、少しがっかりさせられる人もいるかもしれない。もう一度正直にいうと、私はがっかりさせられた口である。走行性能や今走っている道について自ら語ろうとするマシンの声が聞こえなくなってしまうからだ。うねうねとした道でも滑らかに走れるし、ブレーキも軽い。このブレーキはブレンボ製ということになっているが、ほかのモデルに設定されているものと同じではない。
嬉しいこと今回は日本のプロドライバーであり、ジムカーナ選手権で数々の栄光に輝いた西原正樹さんがテストに参加してくださり、A-Lineについてプロの意見を聞かせてくれた。
西原さんによれば、すでに述べたようないくつかの欠点はあるもののA-Lineはすばらしいマシンである。だが、これらの小さな「欠点」は数時間もあればスバルですぐにも直すことができるという。また、西原さんはわれわれにSTIのアクセサリーを試してみるよう勧めてくれた。だがパフォーマンスのみについて言えば、普段使いだけならこのままでも十分だという。
結論にかえて。スバルインプレッサWRX STI A-Lineは疑いなくコストパフォーマンスおよびエレガンスの点で、現在市場に出回っているラリー直送の4WDとしてはもっとも興味深いマシンだ。
飛行機のような翼をとった新しいデザインのA-Lineは、アウディRS4にパワーの点では及ばないかもしれないが、同じくらいエレガントだし値段も手ごろだ。もう少し好みに合わせてマイナーチェンジが施されたら買ってみたい気持ちになるだろう。
最後に。しかし、A-Lineのすべてが完璧というわけではない。素材の質や仕上がりは申し分ないにしても、やはり燃費が高いままだ。また、後部座席の居住性についても課題がある。インプレッサ WRX STIと A-Lineはドライビングのよろこびを提供してくれる、ファンのためのクルマである。
今回のテストはNATS(日本自動車大学校)のサーキットにて、西原正樹さんの協力で行いました。
Posted on 18/12/06 By G-A.G