車ジャーナリストのつらいところは、興味のない車にも乗らなくてはいけないことだ。たとえばロシア車「ラーダ」の名前を聞いて狂喜乱舞できる人がいるだろうか。いやいない。この車をテストするくらいなら両手両足を骨折したほうがましだ、何なら複雑骨折でもいい、というジャーナリストもいるくらいなのだから。
もちろん今日紹介するクルマはラーダとは比べ物にならないが(それどころかとてもいいクルマである)、多くの人にとって今日の主役は絶対ほしい車のリストには載っていないかもしれない。だがこのクルマは一般にも自動車ファンにも知名度が高く、世界中で3千万台の売り上げを誇る非常に人気の高いクルマである。そのクルマこそ、トヨタの提供する4ドアセダン・10代目カローラアクシオだ。
Toyota Corolla Axio Test Drive
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新カローラアクシオを試乗する何日か前、私はスバルの最新型インプレッサWRX STI A-Lineを一週間借りてその走りを存分に味わっていた。なので、正直カローラのハンドルを握ったときにも同じような驚きを感じられるとは思ってもみなかった。
初代カローラを販売した1966年当時、将来このクルマが信頼できて安くてしかも快適な車の代名詞になるとは、トヨタも考えなかったに違いない。だがこの成功に甘んじることなく、トヨタは21世紀最初のベストセラーとなるだろう10代目カローラアクシオを提供してくれた。アクシオが先代までのカローラと同じ道をたどることは明らかだろう。
一見すると、今回販売されるアクシオ(セダン)とフィールダー(ワゴン)の2モデルは、あっといわせるような個性のあるクルマではない。個人的には、よりシャープなデザインで存在感があるワゴンのほうは好きだが、アクシオは面白みに欠けるように思えた。新カローラは先代までと同様、シャープなデザインのクルマではないのだ。だがさまざまな顧客のニーズにこたえるためには、ニュートラルなデザインである必要があるのだから仕方がない。
エンジン面でも事情は似ていて、アクシオは決してパワフルなクルマとはいえない。1.8リットルVVT-iエンジン(136ps、175Nm)モデルと、より「ライト」な110ps、140Nmモデルが用意されている。燃料消費は18.2km/l。だがVVT-iエンジンでトヨタが目指したのはスピード感のあるパフォーマンスではなく、快適さや耐久性、そしてもちろん省エネである。
最新型CVTギアボックス搭載のアクシオはどんな道でもノッキングなしでなめらかに走ることができ、快適性能もほかにはないくらいよい。カーブのたびに心地よい揺れに身をゆだね、高速ではシルクのリボンの上を滑っているような錯覚に陥るだろう。
また、カローラを家族にぴったりのクルマにしている点はほかにも2点あり、この点に私は非常に満足している。
-たしかにアクシオもフィルダーもインテリアに個性が感じられないかもしれないが、素材は手触りの非常によいものを使っている。これが運転をより快適で楽しいものにしてくれるので、それほど疲れずに長距離旅行することもできる。
インテリア面で特筆すべきは、ボタンひとつでシートが簡単に収納できるユニークな座席アレンジシステムを採用している点だ。
―トヨタはここ数年、アクティブセーフティとパッシブセーフティの両面から安全性能を高めることに努力してきた。たとえば、前方の障害物を探知し警告を発するミリ波レーダ、クルマのスピードを自動的に調節するクルーズコントロールシステム、さらにインテリジェントパーキングアシストなどだ。こうした安全性能はもうおなじみかもしれないが、だとしてもそれは当然である。なぜならほとんどのカローラにはレクサスLS460搭載のすべての安全システムが搭載されているからだ。ちなみに、トヨタの安全性能については今言ったすべてをテストした下のリンクを参照していただきたい。トヨタセーフティデー。
もうお分かりかと思うが、カローラはスタイルや加速、パフォーマンスで突出したクルマではない。だが、気持ちよく運転することのできる小さな繭のようなクルマなのだ。そして私がいちばんひかれているのもここだ。カローラのハンドルを握ると気持ちがおちつく。それは最悪の事態が起こっても、さまざまなセーフティシステムがかすり傷ひとつつけずに私を守ってくれるという安心感からくるものだ。
Posted on 08/12/06 By G-A.G