日本車についての記事を書くのに、BBCのクルマ情報番組トップギアで活躍するイギリス人ジャーナリスト、ジェレミー・クラークソンから話をはじめるのは奇妙に思えるかもしれない。
クルマ業界で今後も忘れられることはない人物だろうが、賛否両論はあろう。だが、クルマに対する彼のビジョンには誰もがおそらく同意するだろう。彼の持論は「笑顔で運転できるなら、どんなクルマに乗ろうと関係ない」というものだ。
ある人々にとってクルマはA地点からB地点へ移動するための単なる道具にすぎないが、他の人々にとって(NihonCarの読者は圧倒的にこちらのタイプが多いと思うが)クルマとは真の情熱を傾ける生きがいだ。だが不幸にも、われわれが生きるこの世界の現実はかならずしも完全な満足をあたえてくれず、メーカーは運転に夢中になれるクルマよりも「実用的な」クルマを販売することが多い。しかし奇妙に思えるかもしれないが、以前は批判されることの多かったある日本のメーカーが最近では楽しく運転できるさまざまなクルマを提案している。われわれはまだすべてをテストしたわけではないが、今回テストした6モデルは運転していて思わず微笑んでしまいたくなった。
その会社とは三菱自動車だ。今日は彼らのSUV、2007年版アウトランダーについて話したいと思う。
Mitsubishi Outlander 2007 Test Drive
(WMV9HD 720p Direct Download "Right click, Save as…)
この記事を書いている時点では、三菱アウトランダーは日本とアメリカのみでの販売となっているが、まもなくヨーロッパでも同じ名前かたとえばプジョーなど他のブランドの名前で売り出されるだろう。また、今回テストした2007バージョンは2ヶ月以内にアメリカのみで発売される予定である。
三菱アウトランダーは今年でまだ発売3年目だが、評判がよく日本のクルマ好きに高い評価を得ている。あらゆるシーンに対応したクルマというシンプルなコンセプトにもとづきデザインされているので、街でもエーグルのブーツがほしくなるような悪路面でも乗り心地がよい。
まわりをみていただきたい。泥道や砂原、森を実際に走っているSUVを見かけるだろうか?たしかに、もし私がランジローバーを持っていたら戦場のような場所よりも街中を走るのを快適と思うだろう。もちろんこれは性能の問題ではなくて、ただ泥道はランジローバーの得意とするところではないので、そんな姿を見るのが苦痛だという意味だ。これはたとえばジョン ロブやベルルッティの靴を履いてサッカーをするようなものである。たしかにこれらも靴だが、芝生の上を走ったりボールを蹴ったりするのには向いてない。
しかし、アウトランダーに乗ってこのような不快感を覚えることはない。4日間のテスト中いろいろなシーンを試してみたが、くるぶしまでくる泥地のような最悪の状況でもアウトランダーは輝いていた。
スタイル面でも、三菱のデザイン部門はとてもよくできたクルマを提供してくれている。たとえば、前面にはハニカム形コアの見事なラジエーターグリルがあり、ヘッドライトをうまくまとめている。また、その下にはフロントバンパーアンダーカバーにまもられた大きなエアインテークがある。これがアグレッシブなヘッドライトとともに、アウトランダーのフロントをダイナミックでスタイルのあるエレガントなものにしている。側面から見ると、三菱の5スポーク18インチアルミホイールとクラシックな街乗りのステーションワゴンにインスパイアされたシンプルなラインがすばらしい。後ろから見ても、このSUVはフロント部分と同じハイレベルなデザインになっている。たとえばテールランプのLEDは控えめだが効果的にデザインされている。また、上下開閉式テールゲートになっているため、たとえば腰掛けたりすることもできて便利だ。
インテリア面ではシンプルさも大切だ。だから三菱はシートヒーター付きの本皮シートでシンプルなデザインを提案した。
三菱は日本向けにはアウトランダーのMT車は販売していないので、今回は非常に使いやすいパドルシフトが付いたCTVをテストした。だが追い越し時では、このシステムは4x4ファンには使いにくいかもしれない。誰もがこの問題に悩むわけではないだろうが、正直言って、私はこのタイプのギヤボックスに慣れるのに少々苦労した。
また、TV・DVD・ナビ・ロックフォードフォズゲート社製HDDを搭載したオーディオシステムの充実によりカーライフがますます楽しいものとなっている。
技術的にいうと、アウトランダーにはMIVEC DOHCエンジンが搭載されている。170PS、226Nmトルクで総重量1580kg。スペックは街乗りSUVにふさわしく、路上でのパフォーマンスも非常によい。だが「サファリ」モードでは少しパワーが足りないようである。速度調節をおこなうCTVギアボックスがこの場合あまり役に立っていない。
しかし、舗装道路と未舗装道路では必要になるものが違うので、三菱は走行条件によって、2WD・4WD・4WDロック(悪路面で非常に有用)の3つのモードを切り替えられるようにしている。2WDと4WDを簡単に切り替えられるのは大きなポイントだ。これにより、たとえば燃費も多少はコントロールできるだろう。
テスト中、アウトランダーはどのような路面も走ることができたが、たとえば海岸のような柔らかい土地は走りにくかった。でも安心していただきたい。大方のドライバーはアウトランダーでだいたいどこでも走ることができる。だが、このクルマでのパリダカ参加は考えない方がいいだろうし、泥地でレースをするなら170PSの馬力をあまり頼りにしない方がいいだろう。たしかになんとかなるだろうが、音速というわけにはいかないからだ。また、追い越しで苦労させられるBMW X3よりも地上高が高くなっている点に注意したい。
率直にいって、もしハイパフォーマンスな4x4を期待しているなら三菱パジェロなどを買ったほうがいいと思う。だがもし「カメラマンに泥を跳ねかけて」楽しみたいなら、アウトランダーはうってつけだ。きっと笑顔で運転できるだろう。
結論として、アウトランダーはわれわれにとってはサプライズだった。このSUVはエレガントだし、この価格(テストしたグレード「G(5人乗り)」で2,646,000円)にしては技術的にもデザイン的にも、街や未舗装道路の両方で使いやすくなっている。
BMW X3、X5、レクサスといった街乗り用SUVをライバル社は提供しているが、三菱も決して期待を裏切らないクルマを提案してくれた。
Posted on 02/10/06 By G-A.G